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火災報知設備 熱電対式のあれこれ

こんにちは、スルガ防災の後藤Aです。今回は改修工事を弊社で実施したこともあり、火災報知設備の作動分布式感知熱電対式について紹介いたします。かなりニッチな設備ですが、大きい工場などにはよく設置されています。弊社では様々な消防設備の点検や工事も手掛けていますので、ご相談いただければと思います。改修工事については施工事例にもアップさせていただいておりますので是非ご覧ください。

熱電対感知器の断線調査・改修

 

熱電対式とは?

自動火災報知設備には様々な用途やシチュエーションに合わせて火や熱を感知する「感知器」というものがあります。今回は自動火災報知設備の大まかな説明は割愛させていただきますが、感知器は熱感知器や煙感知器などいくつかの種類があり、熱電対式は熱感知器の仲間です。

作動式分布型といってもどのようなものか想像しにくいと思いますが、熱電対式は天井面に線を張ってその線の途中途中に熱電対部と云われる熱を感知するものがついています。(後述で詳しく紹介します)

熱電対の設置イメージ

※黒い部分が熱電対部

 

熱電対部

 

 

みなさんもよく見たことのあるスポット型の熱感知器では天井高4m以上(8mまで)の時に設置必要個数が倍程度まで増えます。熱電対式(作動分布式)であれば高さ15mまで設置可能で広く高さのある場所に適しています。

熱電対式の構成・設置基準

熱電対式の設置構成としましては、

[受信機] ー [検出器] ー [熱電対線(熱電対部含む)]

となります。

1つの感知区域に対して熱電対部は最低4本、最大は1つの検出部につき20本となっています。「感知区域」、「検出部」と基準となる言葉が異なるので要注意です。

検出器

※総合盤や専用箱に入っていることが多いです

※同一警戒であれば検出器を感知線で渡って複数設置することが可能です

 

 

感知区域ごとにその床面積が72㎡(耐火構造は88㎡)以下の場合は4個以上設け、72㎡(耐火構造は88㎡)を超える場合は、熱電対部4個に18㎡(耐火構造は22㎡)までを増すごとに1個(最低個数の4個を含んで最大20個まで)を加えた個数を設置します。

また熱電対部の取付位置は取付面の下方0.3m以内で、検出器は点検しやすく、かつ、通行に支障のない位置に、5°以上傾けないようにしっかりと取り付けます。

次が施工時にも注意が必要な点となりますが、極性及び最大合成抵抗を確認する必要があります。まず極性についてですが、熱電対部には極性(+、ー)がある為、接続する際はその方向を合わせる必要があります。

熱電対部やこれらを接続するための線(対線)には「- ―」のようなマークがあります。

 

 

「- ―」のうち、短い方が「+」、長い方が「マイナス」となります。これらの向きを合わせて検出器や対部を接続する必要があります。

最後に最大合成抵抗についてです。後述の試験についてでも記載しますが、検出器にて接続されている熱電対部を含む電線の抵抗値が9Ω以内でなくてはなりません。(メーカーにより異なりますが、熱電対式を販売しているメーカーは9Ωの1社しかみたことありません。)

そこで施工が終わった後、試験で9Ωを越えていると帰れません(泣)。

材料

熱電対式には上記で紹介した熱電対部や専用電線、検出器があります。

専用電線は3本でひとまとまりになっておいます。「- ―」が書かれている線と反対側の線が電線になります。末端でその2本を渡る(接続)することで1本電線を張るだけで電流が検出器まで1周しますので空気管に比べれば施工は楽かもしれません。

専用電線断面図

 

また真ん中の線はメッセンジャーワイヤーといい、天井面にこの電線をピンと張らなければいけないので、このワイヤーを利用します。(電線部分を引っ張ると断線の原因にもなります。)

次に熱電対部と電線の圧着(接続)部分ですが、熱電対部の両端が筒状になっていてそこに電線の芯線を差し込み圧着工具で接続します。この時、接続部分(金属)が剝き出しになってしまっているのでチューブ状の被覆をかぶせます。圧着後には入れられないので、圧着前に通しておく必要があります。

チューブ被覆

 

 

この被覆もずれていくと、圧着部分が劣化したり接触し、合成抵抗が上がってしまう原因となりますのでしっかりテーピングしましょう。

熱電対の仕組み

熱電対式の感知器はその名の通り「熱電対」を用いています。そもそも熱電対とはどのようなものかといいますと、異なる2種類の金属を接続し、これらの両端に温度差を与えると熱起電力(電圧)が発生し、これを利用したセンサーのことをいいます。この原理はゼーベック効果といいます。

熱電対部はこの原理でできていて、熱電対部が熱を感知すると起電力が発生し、電線を通じて検出器が発報する、という仕組みになっています。

試験について

熱電対式の試験は、メータリレーという試験器を使って行います。検出器にメータリレーを接続して、合成抵抗値が9Ω以下であることを確認し、また同機器にて検出器の発報確認を行います。

メータリレー

 

 

合成抵抗が9Ωより高い場合は対線が天井や支持部などに接触していたり、劣化していることが考えられますので調査が必要となります。熱電対式は高所に設置されていることが多いので場合によっては高所作業車などが必要になります。弊社では高所作業車の資格を所有している社員が複数いますのでご安心ください。

また、発報確認で発報しなかった場合は検出器が不良である可能性が高いです。その場合は検出器のみの交換作業になります。

まとめ

工場のような広く高い空間ではスポット型の感知器では個数も多くなり点検時間も長くなってしまいます。それが検出器での試験になるので点検時間も短縮されますし、材料や点検(点検は半年に1回)の費用など考えると設置されるお客様にとっても良いのではないでしょうか。(もちろん設置する場所によりケースバイケースではありますが)

高所での作業もありますが弊社では有資格の社員が対応させていただきますのでご安心ください。また、弊社では消防設備士甲種(1~5類)、乙種(6,7類)、電気工事士も多数在籍しておりますので、その他自動火災報知設備や誘導灯など消防設備に関しましてもご依頼ください。

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