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移動式粉末消火設備
こんにちは、有限会社スルガ防災です。
今回は、主に駐車場などで活躍する「移動式粉末消火設備」についてわかりやすいように簡単に解説します。
火災はいつ、どこで発生するかわかりません。初期対応が遅れると被害が拡大する可能性があります。そんなときに活躍するのが移動式粉末消火設備です。
通常の消火器との違いや使用場所、使用方法ついてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
☰ 目次
➤移動式粉末消火設備とは?
移動式粉末消火設備とは、粉末消火薬剤を格納した箱とホースが一体となっており、火災現場に移動してホースを伸ばし、ノズルを操作して消火薬剤を放出するタイプの消火設備です。
“移動式“とついていますが本体が移動するわけではなく、ホースをもって火災ポイントまで”移動“して消火活動をすることからこの名称がついています。
①:基本構造と仕組み
構成部品 | 役割 |
---|---|
粉末消火薬剤 | 火災を窒息・冷却し、炎の拡大を防ぐ (主にリン酸アンモニウム塩などが使用される) |
加圧用ガス容器 | 二酸化炭素や窒素ガスを使い、消火薬剤を強力に放射する |
ホースとノズル | 約20mの長さで、火災ポイントまでホースを伸ばして移動 ノズルを操作して粉末消火薬剤を放出 |
クリーニング用ガス容器 | メンテナンス時にホースやノズルの内部をクリーニングするための ガスを貯蔵する容器 |
格納箱 | 上記の構成要素を収納する箱 |
②:通常の消火器との違い
消火器 | 移動式粉末消火設備 | |
---|---|---|
消火薬剤量 | 一般的な消火器には3kgの消火薬剤が入っている | 33kgの消火薬剤が入っており、より大規模な火災に対応できる |
消火範囲 | 消火薬剤の量と放射距離が短いため、初期消火に有効 | 広い範囲を消火できるため、車両火災など、初期消火が難しい火災にも有効 |
設置場所 | 建物内やオフィスなど、どこにでも設置できる | 外周部の開放性が高い駐車場に設置されることが多い |
使用方法 | 持ち運びが容易で、誰でも簡単に使える | ホースを伸ばして使用するため、ある程度の訓練が必要 |
安全性 | 使用者が窒息するリスクは低い | 大量の薬剤を噴出するため、通気性に気を配る必要がある |
➤移動式粉末消火設備はどこで使用されるのか?
移動式粉末消火設備の主な使用場所
移動式粉末消火設備は、油火災や電気火災が発生する可能性がある場所、例えば駐車場、自動車整備工場、飛行機格納庫、電気室などに設置されることが多いです。また、可燃物火災や、燃焼が早い場所、危険物火災にも適しています。
① 駐車場での使用
駐車場は、車両火災のリスクがあるため、移動式粉末消火設備の設置が推奨されています。
車両火災は、燃料漏れや電気系統のショートによって発生することがあり、急速に炎が広がる可能性があります。
屋内駐車場(特に立体駐車場) | 火災発生時に迅速な対応が求められるため、移動式粉末消火設備が設置されることが多い |
屋外駐車場 | 車両の密集度が高い場所では、火災の拡大を防ぐために設置されることがある |
② 電気室での使用
電気室は、高電圧設備が集中する場所であり、電気火災のリスクが高いため、移動式粉末消火設備が設置されることがあります。
特に、変電設備や発電設備がある場所では、火災発生時に水を使用できないため、粉末消火設備が適しています。
変電設備・発電設備 | 火災発生時に迅速な対応が求められるため、移動式粉末消火設備が設置されることが多い |
通信機器室・電子計算機室 | 電気設備が密集している場所でも、火災リスクを考慮して設置されることがある |
➤移動式粉末消火設備の使い方
移動式粉末消火設備の使用方法を、静岡市消防局の画像に沿って解説します
● 操作手順
- ① 扉を開ける
- 「移動式粉末消火設備」と書かれた格納箱の扉を開けます
- 格納箱は、粉末貯蔵タンク・加圧用ガス容器・ホース(ノズル)・放出弁レバー等で構成されています(その他排圧弁・クリーニングガス容器)
- ② 加圧用ガス容器ハンドルを全開にする
- 加圧用ガス容器の上部についた黄色いハンドルを左に回し、全開にします
- ※ガス容器がクリーニングガス容器と似ていますので、注意してください
- ③ 放出弁レバーを「開」にする
- コック型のハンドルが常時「閉」になっていますので、コックを90°回し「開」にしてください
- ここまでの操作で粉末消火剤はホースまで充填されます
- ④ ノズルを取り出し火災ポイントに移動する
- 格納箱の中にホースが収納されていますので、先端ノズルを持ちながらホースを取り出し火元まで移動してください
- 放射距離は8m~10mとなっていますので、あまり火元には近づきすぎないようにしてください
- ⑤ ノズルのレバーを全開にする
- ノズル先を火元に向けながら、ノズルの先端についているコックを回してください
- 一般的な10型消火器でいえば、約10本分の消火薬剤を約1分間放出します
放出後は排気操作や、クリーニング操作、その後はガスや粉末の再充填がありますが、それらは消防設備士にお任せいただければ大丈夫です。
※消火設備は基本的に初期消火を目的としています、危険だと感じたら無理に消火はせず直ちに避難するようにしてください
➤移動式粉末消火設備の点検
① 点検頻度
移動式粉末消火設備の点検は、消防法により機器点検は6ヵ月に1回、総合点検は1年に1回以上実施することが義務付けられています。
過去に加圧用ガス容器のバルブが開放できず使用できなかった事案もありました、消防設備の点検は必ず行ってください。
② 点検資格
点検には「消防設備士第3類」または「第1種消防設備点検資格者」が必要となります。
また工事においては「消防設備士甲種第3類」が必要です。
③ 点検内容
粉末消火薬剤貯蔵タンク・加圧用ガス容器・ホース・ノズル等の外観を中心に、点検表に沿って実施します。
外形に変形・破損・腐食がないか、バルブ類は容易に開閉操作できるかを確認しています。
位置を知らせる表示灯は点灯しているかも確認します。屋外ではソーラーバッテリーを用いているものも多いです。
④ 加圧用ガス容器 容器弁の開放点検について
上記でも触れましたが、平成22年に加圧用ガス容器のバルブが開放できなかった事案を受けて、消防庁は移動式消火設備の加圧ガス容器開放点検基準を改正しました。
その内容は機器点検の際に、加圧用ガス容器を取り外し密栓をしてガスが漏れないようにした上で、バルブを全開・全閉が容易にできることを確認します。
点検後、容器弁バルブ類点検済証を貼付し、それ以降の点検においては開放点検は省略することができます。
※「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(1975年消防庁告示第14号)の改正(2016年2月26日)「消防用設備等の試験基準及び点検要領の一部改正について」(消防庁予防課長通知)(2016年3月31日消防予第104号)
詳しくは以下のリーフレットをご確認ください。
➤まとめ
今回は立体駐車場等でよく見かける、移動式粉末消火設備について簡単に解説しました。
簡単に使用ができ消火能力も高いので、いざという時に大切な人の命を守れるよう操作方法だけでも是非覚えてください。
消防設備の未点検物件は全国的に50%前後になっています。
管理者やオーナー様は利用者を守るために、必ず点検と報告を行ってください。
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